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AHCC®のヒトパピローマウイルス(HPV)感染防御に関する最新の臨床研究について

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2018.10.26

統合腫瘍学会2018年国際会議にてテキサス大のスミス教授がAHCC®のヒトパピローマウイルス(HPV)感染防御に関する臨床研究を発表

今年2018年の統合医療機能性食品国際学会(ICNIM2018)にて、テキサス大学ヘルスサイエンスセンター(UTHealth)マクガバン医学校のジュディス・スミス教授がAHCC®のヒトパピローマウイルス(HPV)感染防御に関する臨床研究の速報を発表され、特別賞を受賞されたが、その成果がこのたび米国で開催される統合腫瘍学会(SIO)にて発表された。

ヒトパピローマウイルスの持続感染は子宮頸がん発症との関連が深く、誰もが感染する可能性のあるウイルスであるが、感染に対して有効な治療法が確立していない。AHCC®は以前からヒトの免疫機能を調節し様々な感染に対して防御的に働くとの報告があったが、今回のスミス教授の臨床試験でHPV感染に対する治療効果が明らかにされた。

第Ⅱ相試験の一次データを発表

この臨床試験は無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験で行われ、HPV検査で持続感染状態であると診断された50名の女性が被験者として参加。参加者は2グループに分けられ、一方は1日あたりAHCC®を3g、もう一方は同量のプラセボ(偽薬)サンプルを摂取。現在までに50名中46名の結果が出ており、AHCC®摂取クループでは被験者の58.8%が6ヶ月間のAHCC®摂取でHPV陰性となっている。これに対しプラセボ摂取グループでは、12ヶ月間のサンプル摂取で陰性となった被験者は1名であった。

この結果から「AHCC®を6ヶ月以上摂取すると、子宮頸がんリスクを下げられる」ことが示唆された。

テキサス大学で今回の臨床試験の主任研究者を務めるジュディス・スミス教授は、2008年にAHCC®と子宮頸がんについて試験管レベルの基礎研究を開始し、10年の歳月をかけ今回の第Ⅱ相臨床試験完了に至ったが、臨床試験でも基礎研究と同様のポジティブな結果が得られたことでスミス博士は「現状、HPV感染陽性患者の標準的な治療は、『単に感染状態の監視を続けること』しかない。今回の結果に対して世界中の関心が高まると期待します。」と話す。

また、今回の試験には米国NIH(National Institute of Health:アメリカ国立衛生研究所)の補助金が交付されており、HPV感染は社会が取り組むべき課題の一つになっていることがうかがえる。スミス博士は「子宮頸がんのリスクをより早く低減するために、HPV感染の排除をサポートする安全かつ臨床的に評価された天然物質を提供したい。」と将来への展望を語る。

ワクチンの効果を上げるためにも

なお、ICNIMでは2015年の年会において、HPVの問題について取り上げ、総合討論の中でHPV感染について議論された。

総合討論の中で「HPV感染による子宮頸がん発がんの概要」について話題提供した島根大学産婦人科の京哲教授は「HPVがもつE6、E7遺伝子はがん遺伝子として働くだけでなく、免疫反応を妨害する機能も持っていることからHPVに対する免疫反応が弱くなる。」

「自然な免疫反応に頼るのは厳しいため、ワクチンがすでに確立されている。」「異なる型のHPVには効果が無くワクチンだけではどうにもならないこともある。」とし、ディスカッションの中でワクチンの効果を上げるためにAHCC®を併用するという考え方が「理にかなっている」と述べた。

AHCC®が感染症に良い事を示すデータはこれまでもあり、AHCC®の免疫調節機能が関与していると考えられてきた。HPVは感染だけでは症状が出ず、発がんに関与するが、発がんまでには時間がかかる。しかしながら、感染に対する治療法が確立していないため、放っておくとがんになるリスクを抱えたまま生活する事を余儀なくされる。

すなわち自身の免疫に任せ、自然治癒に頼るしかない。AHCC®はその感染に対して防御的に働くということで価値がある。HPV陽性と診断された女性は、がん予防のためにAHCC®を飲むという選択があるかもしれない。

ICNIMではこれまでにスミス教授の研究のほかに、横浜市立大学、北海道大学でのHPVに関する研究報告がある。作用機序も含め今後の研究の深化が期待される。

前研究

スミス教授が上記の第二相臨床試験に進むまでの、基礎研究から予備試験までの結果をまとめた論文が「frontiers in Oncology」2019年3月号に掲載された。
論文タイトル:’From Bench to Bedside: Evaluation of AHCC Supplementation to Modulate the Host Immunity to Clear High-Risk Human Papillmovirus Infections’

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